【孤独死のグルメ 第1話】愛しきあの子と韓国万能ダレはピリッと辛い。
「料理」
今まで自分自身が無縁なまま20年間過ごしてきたものだった。
自分は男として生を受け、実家の中でぬくぬくと育ってきていたためにいつの間にか料理は勝手に用意されるものであるという前提のもとに生活が成り立っていた。
母親は昔から本当に料理に関しては非常にうまい人間であった。
休日などに自分と弟は毎回リクエストを聞かれた。そして、そのたびに母親にしたリクエストは期待を越えた美しく、我々の胃袋をつかむ料理を提供することによって返された。
未だに忘れることのないうまさの料理もたくさんある。海外旅行から帰ってきてすぐに食べた豚汁と白米の味。受験期に用意されていた、納豆と卵焼きの朝ごはん。勝手に気が向いて作ったというメロンパンなど。母親の料理というのは常に自分に用意されている一種のアドバンテージのようなものだった。
そして、いつの間にかそんな用意されているご飯と共に自分は長くの間生きていた。母親の料理を食べ自分の体はいつの間にかでかくなっていた。
そんな料理に対して不自由ない生活を送っていた自分は。何の前触れもないがふと料理に目覚めたのである。
いや、もしかしたら前触れがあったのかもしれないが。
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それは突然のことだった。
今から少し前のこと。自分はひそかに思いを寄せている女性がいた。いや、思いを寄せているといったら言い過ぎだが、かわいいとは思っていた。
普通に一緒にいると友達といった感じだったであろうか。
そんな友達から自分の男友達が気になっているとの相談を受けた。友達ではあるが、他の男性が気になるといわれて漠然としたショックを受けた。
そして、悪い癖なのだが、そうなってしまうと自分は他人と比べたがってしまい妙に劣等感を感じることがある。
その男友達というのはいわゆる完璧人間だった。頭脳は明晰で、子供好き、身体能力も高い。といったタイプ。 自分自身も彼のことをリスペクトしていた。
何より。家庭的だから女性に受ける。自分も納得しかないほどのできる人間であった。
カッコいい。まさにそれを人間の形に具現化したような人。
そんな彼が得意としているのが料理であった。頻繁に様々な異性の友達に自分の作った料理をさりげなく紹介している。確かにうまそう。自分も見ていてほれぼれした。
しかし。今となってはそんなほれぼれしているだけではいてもたってもいられなかった。女性は男性の3つの袋のうちの一つである胃袋をつかめ。なんていうが、それはやはり男性から女性に対しても同じである。
追い越すまではしなくても。いい。まずは、追いつかねば。
男というのは本当にしょうもないところでライバル意識を見出し、勝手に熱くなりはじめる生き物だ。特にメスを争うとなれば、だ。
そうして、追い越すことが到底出来そうもない男はせめて料理だけでも抵抗していこうとフライパンを握り始めた。
でも。でもだ。
「料理って何するんだ。」
やはり。この男は到底追い越すことすらできなそうである。
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「何を作ろうか。とりあえず、自分には金がない。作るとしたら一品で満足できる料理にしようか。」
実家とはいえ一人になると自由であるため、料理を作る目的は全て自己満足である。
とりあえず。男は冷蔵庫を確かめてみることにした。
「ほうほう、意外といろんな食材が入っているわけだ。」
そんな時に、昨日食べた夕食をふと思い出す。
「あ、そういえばなんだかうちの親が妙なことを言っていたな。」
確かに、昨日の晩飯の時に親がなんらかの新しい調味料を入れて野菜炒めを造ったとのこと。それがうまかった。なら、それをオマージュしよう。
冷蔵庫を探るとそれらしきものが見つかった。
「ほう。韓国万能ダレ。」
そう。この韓国万能ダレ。久世福商店で売られているそうなのだが。まさにこれが自分でも料理を上手く作れる七つ道具の一つ目であった。このタレは名前の通り、韓国のうまいがすべてこの一つの瓶に含まれているのである。コチュジャン・唐辛子・ナンプラーが含まれており、炒めたら大体めちゃくちゃうまくなる。
「よし。冷蔵庫にキャベツとベーコンがあるし。これらを使ってどんぶりにしよう。」
この男はゲームの説明書を見ずに始めるタイプの人間である。全く料理などといった規範がないために手でちぎったキャベツとベーコンをごま油で炒め始めた。塩コショウで多少の味付けはしたので食えるだろう。そんなテンションである。
でも、味覚だけは優れているのか、たしかに非常に香ばしく美味しそうな匂いがフライパン全体から香ってくる。うまそう。
多少、野菜に焦げ目がついたところで万能タレを投入。そして炒め続ける。
レンジで温めたコメの上に乗っける。
※この男に見た目という概念は存在しません。
「うん。なんとなくおいしそうだ。でも何かが足りない。そうだ、卵だ。」
たいていの料理、チーズか卵を乗っけておけばうまくなる。
目玉焼きを作りどんぶりの上に目いっぱいに乗っける。
はい、完成。「ピリ辛野菜炒め丼」
料理を知らない男でも15分ほどでちゃちゃっと作れた。
一口食べる。うん、しょっぱい。でも味噌を入れすぎたぐらいのキャベツに卵の黄身の甘みがうまく重なり合ってめちゃめちゃうまい。ベーコンもきっちりと炒めた甲斐あってかカリカリとしている。
やはり。料理をしたことのない男にとって持つべきはうまい飯を作ってくれる母である。万能韓国ダレ、そして、母親ありがとう。
人生に料理の「り」の文字すらなかった男に少しずつ料理の良さが分かった瞬間であった。正直、料理もやってみれば何とかできるのだ。
彼があの子の胃袋を奪い取るまではそう遠くな、いや、まだまだ遠いのかもしれない
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というわけで、自分の作った料理をなんか小説っぽく伝えてみました。
で、みなさんこういうの見るとお前の実体験じゃないのか? とか疑うかもしれないので最後まで読んでいただいた皆さんに伝えます。
※オールフィクションです
実際、自分自身ほとんど料理を作らないタイプの人間ですが、なんとなく飯を上手く作れたほうがいいかもしれないのでこれからも料理作ったら、どうしようもないストーリーと共にブログにあげたいと思います。最後まで読まない人に赤っ恥書かせる意味でもね☆
とりあえず、万能韓国ダレ買ってください!なんでもうまくなります!
というわけでとんでもなくしょうもない料理記事でした。
では!!