Kantabileさんの日常

某大学に所属する大学生のゆるふわな毎日。日本語ラップやMCバトルについての解説記事。その他自分の好きなことを発信してます。

梅田サイファーのダンスは続いていく

 

1.Awakenings

 

2016年の春。

 

僕は途方に暮れていた。部活もいつの間にか地区予選で終わってしまい、受験勉強にも全く身が入らないそんな時期だった。桜も散り、新緑の季節。

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今まで当たり前だと思っていたものがなくなったときに、大切さを感じるとはまさにこのことであった。シェークハンドの握りをしていたラケットがシャープペンに置き換わった際、本来の何倍もの重みに感じられるのが非常につらかった。

 

大切なものは非常に身近にあるとはまさにそのことだった。自分自身意識せずともあの不平不満を言っていた卓球部が、そして、その周りの環境が自分の構成部分となっていたのであろう。

 

そんなことを言いながらも、机に向かい勉強をなんだかんだしている自分に少しずつ嫌気がさしていた。

 

そんな時期に自分はYoutubeフリースタイルダンジョンである一人の天才を知る
名前は『R指定』だった。

 

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恰好は黒Tシャツにジャストサイズのジーパン、胡坐を組むと宙に浮いてしまいそうな髭ずら。世の中でいう「はぐれ者」の見た目であった。

 

なのに、なのにである。

 

マイクをつかむと彼の中にあるスイッチが押されたかのように、まるで遊戯の二重人格かのように相手を言葉でばっさばっさと切り倒していくのである。

 

そんな彼の姿に感銘を受けた。と、同時に自分自身真似できるのではという思い込みが勉強を続けていくと共に日に日に増していった。それと矛盾しているが、自分の中での彼はまさにはぐれ者からヒーローへと変貌していくのだった

 

痛みをそのまま保持している彼の強さに惹かれた

 

その後、一人の受験生はMCバトルにずぶずぶとはまっていき、勉強をする際にも
R指定バース集」やら「チプルソ ベストバウト集」みたいなのを聞きながら自分の理不尽なフラストレーションを解消していた。

 

 

そんな受験間際に一つのバトルに出会う。

それが。UMB2014大阪予選の「KZ vs R指定」である。

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R指定の様子がおかしかった。なんだかいつも刀でバサバサと切り裂いていく彼がなぜか、相手のKZという良くわからない一般人に対して吐いている言葉が逆刃刀ばかりである。逆にKZという男も16小説を2回も間違えるほどにひどい。

 

でも、なぜか涙が出てくる。なんでだろう。

 

最近うますぎてラップがつまらない

マジで最近いけてないMC 

と、KZが相手の痛いところをついたと思えばR指定はいつも1から自分は積み上げてきたという実績を伝える。そして途中にKZが小説を間違えてしまう。

 

ぐだった。そう思った。しかし、KZは負けを覚悟し、R指定を応援し始める。

だからさ、行ってこい!!

それに対してR指定はこのように返す

“当たり前やろKZ心配すんなお前の分もドイケンの分もKBDの分も一回戦で負けたふぁんくの分も梅田サイファー全員背負って東京殺すぞ”

 

このバースを聞いて、そして後ろのDJが一番上がっていることを見て涙が止まらなかった。塾の自習室でごまかした。

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このバトルが、「梅田サイファー」との出会いであった。

 

その後、R指定の思いや立場に共感してしまい、受験会場につくなり、このバトルを見てスイッチを入れる作業を行っていた。自分も親。塾の先生。友達を背負ったうえで全員殺すぞと。

 

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2. 決意

 

2017年秋、周りの葉っぱも茶色くなっていたころであろうか。

 

受験勉強を終えた少年は、ゴールにたどりついたはずであったのに、全く持って無気力な状態になっていた。入学早々入ったサークルにも飽きが来ていた。

 

ただ、そんな少年が好きだったのはやはりMCバトルだった。
梅田サイファーに関しても少しずつ知り始めていた。

 

R指定の元相方であり、高音ボイスとリズム感が気持ちいいKOPERU、梅田でラップがい一番ラップがうまい男doiken a.k.a Kenny does、ギャグと圧倒的なスキルをもつふぁんくさん、韻踏むゴリラことKBD、もっともHIPHOPな金髪男pekoなど...


いつの間にか梅田サイファーのファンになっていた。

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何より、全員が親近感が感じられる存在だった。身の回りからHIPHOPを生み出していた。尚且つ、それぞれがちゃんと自分の個性を出していた。


そして、彼らのことを知り続けることによって思った

『俺も単純にラップをやってみたい』

 

そのような決意を胸に震える手でLibraに対して応募し、UMB千葉予選に。
もちろん初期衝動はあのバトル。

 

といった感じでいつの間にか自分も一人のPlayerになっていた。あくまでまだラッパーではない。まだまだ甘ちゃんである。特に梅田の音源を聞いてそれは実感していた。

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だれも身の丈を越えない。でも自分のスキルを越えた何かを追い求めている姿勢を音源を聞くことで感じていた。そして、仲間に対しての純粋な楽しさを感じている。

 

「日本一ラップを楽しむ集団」

 

特に「youngunz feat. SHIN,Maru-ai,Kenny Does&KAI / hokuto from 孔雀」からはラップにおけるビートとリリックから生まれるグルーヴの影響を感じた。

 

なんどもこのビートを使って一人でシャワーの前でフリースタイルをして、一人で帰り道にフリースタイルを練習していた。

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そんな甘さを感じながらも様々な大会に少しづつ出ていた。

 

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 3.衝動

 

2018年、秋。 出始めてから約1年たったときであろうか。

 

自分は完全なバトルMCでありサイファーキッズになっていた。

東京の渋谷familyで行われる様々なバトルに出たり、千葉周辺の柏や松戸、千葉、津田沼などの場所で行われるサイファーに通っていた。

 

そんななかで、渋谷VUENOSに一般エントリーで立てるというバトルがあるとのこと。

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すぐにこんなに大きなチャンスはないと出場した。結果はONO-Dくんにぼこぼこにされたわけだが。

 

そんな時に、シークレットライブでKZさんが出るとのこと。

 

思わぬ形での梅田サイファーMCとの初対面であった。正直、このような形で会うのは全く予想していなかったので、心の準備が出来ていなかった。

 

「あの頃のヒーローであり初期衝動に会える」

 

ライブは時間が押してしまったとのことで10分ほどで3曲ほどしかできないとのこと。すべてをこのMCから受け取ろう。そういった決意をもとに前のめりで聞いた。彼が話していたのは「きっとうまくいくから、がんばれ」と背中を押してもらう言葉ばかりだった。

 

彼のライブを聞いてすぐに物販でCDを買い、思いを伝えることに。

自分にとっての初期衝動なんです。R指定vsKZのおかげで自分のMCになりました。高校の頃はバンド組めなかったけど、ラップは一人だからやってます。 

そんな自分の言葉にKZさんは

本当か。ありがとう。自分たちもいろんなところでライブとかパーティやってるからいつでも来てな。大阪もいいところやから。 

 という内容を返された。隣のミステリオ君が「嬉しいですねこんなん。」と言っていたのを覚えている。

 

帰り、直接買った「PULP」を右手に今まで味わったこともない思いを感じていた。渋谷のネオンがいつもよりもセピア色に光っていた。

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UMB本戦で、アマチュア8耐に行くことを伝えたらその際にもとても喜んでくれた。

 

その後、アマチュア8時間耐久にも行った。その時にもそのような思いを伝えた。
R指定さんもいらっしゃっていて、ついに二人のヒーローがそろうことになった。

 

一生僕は最後のR.E.S.P.E.C.Tを忘れないだろう。

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4.ダンスは続いていく

 

3日前非常にうれしい情報を聞いた。

 

UMBにおいてKZさんが2連覇、奈良予選ではKBDさんが優勝したとのこと。

 

やはり、僕の初期衝動は間違いと思わせてくれた瞬間だった。もちろんライブでも十分に体感している。絶対に彼らのアルバムは古くならないし、一生自分のプレイリストに『決意』は入り続ける。

 

そして、このブログを書きながら気づく。

自分と同じようにたくさんの困難にあい、様々な挫折を繰り返している。

 

「決意」を聞いて感じる彼らのサイファーへの思い。

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ケツに火をつけGo!Go!Go!
決意し続けて行動を
しけたマインドじゃ空は灰色
さぁ未来を青く塗り替えろ
ケツでライムしてFlow!Flow!Flow!
決意し続けて行動を
Stand up! pay back! 抜け出す
We are represent Umeda No.1 player

梅田サイファー3rd Album Never get old “決意”より

 

「エピソード」を聞いて感じる。自分にはないような計り知れない痛み、そしてそれを乗り越える強さを。あのメンバー。

 

彼らの音楽を聴いていると感じる。

「痛みがなければ得るものがないんではなくて、痛みがあるから得るものがある」

 

今後も彼らは動き続けるだろう。それぞれの方向は違えど。

R指定はフリースタイルのラスボスとして、KZさんは一番HIPHOPを楽しむリーダーとして、ふぁんくさんは父親として、ラッパーとしてなどなど。

 

決して彼らは止まることがない。
今年の年末、そして、今年も彼らが活躍することを心から祈っている。

 

いや、千葉の大学生である自分一人なんかが祈らんでもやってくれる。

 

だって彼らは僕のヒーローでずっとありつづけるのだから。

 

 

「梅田サイファーのダンスは続いていく。彼らが続く限り自分も。」

 

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